東京シティオペラ協会

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ナレーションによる解説付きのオペラ公演は、東京シティオペラ協会で。

コラム・対談

対談シリーズ ナレーション 矢島 正明

明治大学文学部演劇学科卒業後、劇団テアトル・エコー入団。
独特の渋い声でラジオ・テレビドラマ、ドキュメンタリーのナレーション、また『0011ナポレオン・ソロ』のナポレオン・ソロや『スター・トレック』のカーク船長等の吹き替えなどで人気を集める。現在は矢島プロを設立しフリーである。紳士的美声で有名であるが、普段の口調は代表キャラクターの一人『鉄腕アトム』のヒゲオヤジそのものに近いと自他共に語る。

川)矢島さん、今日はお忙しいところをありがとうございます。

矢)いえいえ、どういたしまして。

川)そもそも、矢島さんに私たち東京シティオペラ協会がナレーションをお願いすることになったきっかけを、覚えていらっしゃいますか?

矢)そう、あれは私の二番目の兄からある日電話があって、どうやら彼が歌っているアマチュアの合唱団の指導者が、私にナレーションを頼みたいらしいと。いやだったら断ってもいいんだよ、とボソボソと遠慮がちに言い出したのがきっかけでしたね。
それで、赤坂の喫茶店でお会いしたのが始めての出会いでした。
そして、初めての仕事が、2000年でしたかね、中野ZEROホールで「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「パリアッチ」でした。

川)私たち東京シティオペラ協会は、矢島さんにお願いするよりも前から、ナレーション付原語上演と言うスタイルをとっていて、それなりに自信はあったわけですが、矢島さんが初めて出演なさったご感想は、どんなものでしたでしょう?

矢)そうですね、はっきり申し上げて、これはプロットだろうと。ならば余りしつこく読むよりも、おそらく聴衆の心には残らないだろうから、テンポよくさらりと終わらせて、と言うようなスタンスでしたか。

川)ところが、私たちはこの《ナレーション付き》と言うやり方に対して、字幕付きでやるよりも、お客様がずうっと理解しやすく、かつステージと字幕とに意識を寸断されない、非常に優れた手法だと言う自負を持っているのですよ。
ところで、それ以降の作品はどんなオペラをやっていただきましたでしょうか?

矢)そうですね。「カヴァ・パリ」で始まって、「アイーダ」次に「トスカ」。それから「リゴレット」「トロヴァトーレ」と続き、「ルチア」「魔笛」「ジャンニ・スキッキ」もう一度「カヴァ・パリ」そして「ルチア」の再演、「コシ・ファン・トゥッテ」それからつい最近の「声」と「外套」ですかね。

川)いやあ、随分たくさんの作品をお願いしてしまいましたね。

矢)トスカのころからかな?それまでの、いわば若干マイナス思考から、単なる説明ではなく、物語のポイントを演者よりも先取りして、私が演じきってしまう、そんな方向に切り替えてみたのは。舞台より先に物語を体験してもらおうと。そうしてみたら、これが非常に評判がよろしかったわけですよ。それからですね、僕の語り口・テンポに合わせて自分で原稿を手直しするようになったのは。
原稿を書いていらした萩野さんも、鷹揚に認めてくださって、ちょっと追加したりしても、「ウンあれでいいよ」と言ってくれたので、とてもやりやすくなったわけです。

川)それからですね、僕は矢島さんがとてもアクティヴに我々の世界に入ってくださっているなあ、と感じるようになったのは。
「魔笛」の時ですね、ある出演者のお母上が、「3回目の「魔笛」鑑賞になるけれど、初めて物語の全容がわかった。」といってくださったのですね。これでまたまた私は自信を深めるきっかけになりました。
ところで、至近なところでは、プーランクの「声」を取り上げたわけですが、これは又新しい試みがありました。すなわちダブルキャストで二日公演だったわけですが、一日は原語、もう一日は日本語上演と。そして、日本語上演の方にも、矢島さんのナレーションを入れていただくと言う、全く新しい事をやったわけですよ。

矢)そうでした。原語で演じられた森さんはご自身で原稿をお書きになって、私が語る中で、舞台とナレーションとが正に一体となっての公演でした。森さんの原稿も中々素晴らしくて。そして小宮さんが演じた日本語の方も、これも小宮さんがご自身でお書きになった原稿だったのですが、あらかじめ筋書きを少し与えておいて演じると言う、これはこれで又、聴衆の理解を一段と深めるのに役立ったのではないでしょうか。

川)この新しい手法も、又私たちは自信を持ってしまったわけで、今後のあり方に一石を投じたと言えるでしょうか。
ところで、今までこれらの原稿を一手に書いてくれていた、盟友萩野昌良さんがこの6月に亡くなるという、私にとっては、正に大事件があったわけです。

矢)そうでした。彼はとても丁寧に、しっかりと正確に物語の時間をつかんだ原稿を、書いてくれていました。

川)これは私たちにとって実に重大な損失で、今後のあり方が又一つ曲がり角に来たな、と思う訳です。
故人の事を揶揄するわけではありませんが、彼があんなに文才があったとは、当初思いもよらなかったのですね。(爆笑)
ここで、ご冥福を祈りましょう。

矢)そうですね。

川)さあ、最後になりましたが、今後やってみたい作品って何かございますか?

矢)いやあ、僕はそんなにオペラに詳しいわけではないから何ですが、そう、あえて言えばリゴレットかな?僕はリゴレットの終幕の語りがとても好きなんですよ。

川)そうですか。たまたまリゴレットは来年再演することになっていますので、楽しみですね。

矢)それからパリアッチね。僕は川村さんのパリアッチを聴いて、「ああ、このグループと一緒にやって行きたいなあ」と思ったのです。

川)ありがとうございます。是非機会を作って又パリアッチを歌いたいですね。
長くなりました。今日はお忙しい中をありがとうございました。

矢)どういたしまして。